セレクトセール2006の市況と感想

比較の意味で昨年度分にもリンクを貼っておいた。
直接的な比較は、当歳セール部分だけに有効だろう。
当歳セールに関しては、去年も上場頭数はほぼ同数なので比較しやすい。


今年の当歳馬の総売り上げは83億4050万円で、79億7200万円だった昨年より微増した。
ただし、今年は6億円という異常な値の馬が出たことを考えると、ほぼ横ばいと考えて良さそうだ。
1歳セールを初日に行ったことで、資金が分散していることを考えると、横ばいでも上出来と言えるか。


次に売却率。当歳セールの売却率だけ抜き出すと以下のとおり。

  全体 牡馬 牝馬
2005年 80.1% 81.4% 76.3%
2006年 72.7% 72.3% 73.8%

売却率は全体で7.4%下落したが、これはどうも牡馬の売れ行きによる影響が大きいようだ。
牝馬の方が売却率が良いと言うのは珍しいかもしれない。
社台グループ生産馬はほぼ完売といった情勢なので、
他牧場生産の牡馬が去年より売れなかったと言っても良い。
そこそこの値がついても主取りになっているケースが何度も見られたのは、
1歳セールが再開されたことで、再度高値で売れる機会が増えたからかもしれない。
もっとも、7割が売れてるという現状は、このセールだけを見る限りでは悲観することはない。
来週のセレクションセールでは厳しい現実を突きつけられるかもしれないが。


あとは、平均価格が高馬の出現で比較の意味をなさなくなっている中で、
全体の中間価格は全く去年と同一の2600万円になったのは面白い。


1歳セールの方は、準備万端の社台グループに対して、他の生産者は消極的に感じた。
社台グループほどには、この1歳セールに対して馬を温存していなかった。
いや、温存できるほどの馬資源がないのか。
たぶん最初なので様子見であったり、当歳の時点で目玉商品は売り抜けた後になっていたのかもしれない。
良血馬が高値で売れるという商習慣のある日本においては、
売り手である生産者にとって1歳まで売るのを待つメリットは少ないから。
今思うと、ノースヒルズマネジメントが母シェイクハンドの1歳馬を売りに出したのも、
社台以外で1歳セールに目玉となり得る馬を出すことが目的だったのかなと思ったり。


また、1歳セールにしか積極的に参加していないバイヤーも見られる。
ゲイリーの中村氏、JRAなどがそうだった。
買う側からしたら当歳より1歳で買う方に魅力があるのも当然。
今回レポジトリーも充実したものが用意されていたようなので、なおメリットが大きかった。


まぁ、当歳セールで派手に金を落としていっている方々は、
サンデーサイレンス産駒が活躍し始めた頃以降に馬主になったり、馬主業を拡大された方がほとんどで、
以前から実績のある馬主さん達は割と平静にお手頃な馬を落札されていたりする訳ですが。
それは今年に限らず今までのセレクトセールにも共通の流れだけど。


全体を通しての感想は、こんなところです。
1歳セールが増えた分、より多くの資金が流出してしまったので、
来週のセレクションセールに影響が出ないかなぁとちょっと心配。
もうお腹一杯の馬主さんもいらっしゃるでしょうし。